ブイツーソリューションの事業は絶賛に値します。イスラームの預言者ムハンマドの伝記のように、日本人には極めてなじみが薄い本書は、非常に重要でまた面白いにもかかわらず、さまざまな理由から、既存のビジネスモデルで出版することは不可能でした。
ブイツーソリューションは不可能を可能にしました。あらゆる意味で、文字通り「お手軽」で、それでいて完成品は素晴らしい出来栄えです。ブイツーソリューションの既成の表紙と、こちらのデザインの組み合わせで、かくも見事な表紙が出来上がるとは、感動以外の何ものでもありません。この表紙と、「まえがき」の後に挿入したアラビア語原典資料は、本書の中身と権威を証言しているからです。
また小部数の印刷で、アマゾンだけに流通を絞るモデルは、本書のような書籍にぴったりで、コストを大幅に削減することができます。本書を一冊や二冊、書店に並べてもどれだけ売れるか極めて不透明で、1万円の価格でも採算に合うかどうか分かりません。
しかし、イスラームや、その預言者の生涯に興味を持つ読者は、どのような関連書籍が存在するか、まずネットで調べるのが最も手っとり早い方法で、そのような読者が本当に本書を読みたければ、この定価でも購入すると期待できます。
ちなみに本書の原著者「イブン・イスハーク」、あるいは「預言者の生涯」をキーワードとしてグーグルで検索すれば、本書の概要を紹介している私のブログや、すでに同じタイトルで出版している電子本、オンデマンド本がトップ、あるいはそれに近いページに掲載されています。
本書がアマゾンのデータベースに反映されれば、グーグルの検索に引っかかる件数、機会がさらに増えるはずです。また同じ共訳者による前著『イスラーム原理主義の道しるべ』も、すでにアマゾンで販売されているので、この点でも検索される可能性は高くなると期待しています。
書籍販売市場に占めるアマゾンのシェアがどれほどか、見当もつきませんが、少なくとも日本全国市場への窓口としては、最大級の書店の規模を上回るのではないでしょうか。
ネットで調べる限り、前著の書店での売れ行きは、一年半か二年後には動きが止まってしまいましたが、アマゾンではいまだに少しずつではありますが、中古品を含めて動きがあります。
先日、『私にはもう出版社はいらない』という翻訳本を読みましたが、この本の原題は「AIMING AT AMAZON」(アマゾンを狙え)です。従って翻訳本のタイトルは誤解を招き、「旧モデルの出版社いらいない」という意味です。
これからは、ブイツーソリューションのような出版モデルが標準モデルとなるかも知れません。ブイツーソリューションを活用すべきライターは、恐らく多数存在するでしょうから。