多くのメリットがある企業出版ですが、注意しないとそのメリットは発揮されません。
それどころか、出版費用が無駄になってしまいます。
まずは、企業出版を考える際に、特に気を付けておきたいことを確認しましょう。
「なんでもいいから本を出す」というのは、まったく意味がありません。
適当な内容で本を出しても、それを読んだ人にとっては逆に悪い印象を植え付けるだけになってしまいます。
本にできる内容が無い場合は、まずは自社の実績・技術・サービス内容・顧客数・人材など、「自社の実力」を付けなければいけません。
自社に本を作れる力が備わったときに、改めて出版に取り組みましょう。
2000年代に入って以降、書店の閉店が相次いでいます。
書店数は減っているにも関わらず、新刊の発行点数は年々増え続け、書店の棚を圧迫しています。
そのため、書籍は発行後、期間を開けずに返品されることも増え、その最終的な返品率は書籍全体で3~4割、ピンポイントで見ると5割を超えるものも多いとも言われています。
流通させる部数の半分以上は、売れずに返品されてしまうのです。
それに、いくら書店が減ったとはいえ、まだ全国には1万店以上の書店があります。
それらにくまなく、平積みになるようにと10冊ずつ本を配ろうとしたらどうなるでしょうか?
10万冊以上の本が必要になる計算になってしまいます。
自費出版では、それは現実的ではありません。
また、あなた自身も、本や家電、服、雑貨など、いろいろな物を買うときに、ネット通販で購入することが増えていませんか?
昔と比べて、本の流通ルートが広がったことで、「書店」の店頭にこだわる必要性は低くなっているのです。
ここで一度思い出してください。
企業出版を行う目的は、「多くの書店に本を置いてもらうこと」だったでしょうか?
出版した本を、「本業の利益につなげること」だったはずです。
そのためには、必ずしも「書店に本が置かれること」というのは重要ではありません。
商業作家さんは、本がより多く売れることを狙って、本を出版します。
個人の自費出版を行う方でも、売上を多く上げたいと考える方は多いです。
しかし、企業出版では、ベストセラーを狙ってはいけません。
本来の目的に沿って本を作り、結果的にベストセラーになるのはいいのです。
ですが、最初からベストセラーを狙ってしまうと、出版の目的がブレて、本の内容が変わっていってしまいます。
ベストセラーというのは、「一般の多くのひとに、広く人気がある」ものです。
そのためには、一般受けをする、流行りの内容やセンセーショナルな内容を盛り込む必要があります。
そうすると、その本は、本来の目的から外れてしまい、「書店での売り上げを目指す」その本限りの内容になっていってしまいます。
そのような内容の本では、あなたの会社のことを見込み顧客に真に理解してもらうことはできません。
ましてや、その本から本業の売り上げにつなげるようなことは一層難しくなるでしょう。
「本業の利益につなげる」ためには、一度、書店での売り上げは度外視してみることが重要です。
ここで見てきたように、本を書いている最中は、簡単にその目的を見失ってしまいがちです。
見栄や射幸心に捕らわれず、常に本を出す「本来の目的」をはっきりと意識しましょう。
そうすれば、自ずと目的に沿った内容の本が出来上がるはずです。
>>商業出版を狙うのではなく、自費出版で行うメリット