次に、どんな内容の本だと「自社の利益につなげること」ができるのかを考えてみましょう。
これをきちんと理解していないと、本を出す目的意識がしっかりしていても、見当違いな内容の本になってしまいます。
「自社の利益につながる」ということは、つまり「お客様が増える」ということです。
では、どういう内容の本であれば、その本を読んだ結果として、本業のお客様が増えるのでしょうか?
ひとつは、本の中で「自社の達成してきた業務内容が、読者の利益となること」を説明していたり、裏付けたりしているものです。
その本を読んだ人たちが、「こんな製品やサービスをぜひ使ってみたい」と思ってもらえるような内容にしましょう。
御社には、紹介したい製品やサービスがあるはずです。
それを「こんなに良いものだよ!」と単純に言うだけでは、読者の心には響きません。
広告宣伝として忌避されてしまうこともあるでしょう。
大事なのは、「その製品やサービスを使って、読者はどういった利益を受けられるのか」を想像してもらえるようにすることです。
そのサービスでどんな悩みが改善できるのか、この製品はこの点がこういう役に立つ、実際に利用したお客様からの喜びの声……
読者が自分のことに置き換えて考えることができると良いですね。
単なる自社の売り込みではなく、「自社を使えばこんな良いことがあるよ」というイメージを持ってもらえるように、本を作りましょう。
お客様を増やすための本の内容として、もうひとつあげられるのが「自社が信頼に足ると裏付けるもの」です。
「こんな会社なら、安心してお仕事を頼めるわ」と思ってもらえることが理想ですね。
会社そのものでもいいですし、社長など代表的な人物、部署などのチーム、製品やサービスそのものでも良いと思います。
これまで会社がどういった事業を行ってきて、どういう人たちや社会の役にたったのか。社長がどんなカリスマ性や能力を持っているのか。
チームでどんな働き方をしているのか。自社の製品がどれだけの努力・研究の結果生み出されたのか……
何を取り上げるかを決めて、それを出来るだけ分かりやすく書いてみましょう。
誠実に取り組んできた仕事の結果を読んでもらえれば、信頼感が生まれます。
アピールしたい内容というのは、どうしても詳しく語りたくなってしまいます。
専門家に向けた技術書や研究書であれば、専門用語を使って細かく説明しても問題ありません。
しかし、企業出版の書籍は、その対象読者の多くが「一般のお客様」です。
専門知識が無い人は、少しでも難しい内容は読む気になりません。
そして、一度興味を失った本を再度読み始めるということは、ほぼ無いでしょう。
そうしないためには、できるだけ簡単な言葉で、分かりやすく書くことが重要になります。
「子どもでも理解できるくらいにかみ砕いた内容を、難しい言葉を使わずに、丁寧に書いてみる」と思うとイメージしやすいかもしれません。
なるべく「何も知らない読者の立場に立って考えてみる」ということが重要です。