企業出版とは、企業または企業の代表者が、その会社の名前で行う自費出版です。
個人が趣味として制作する自費出版とは、目的や目指すものが少し違います。
個人が行う自費出版は、「本を出すこと」「本が売れること」などが目的ですが、企業が行う自費出版は、「出した本を、本業の利益につなげること」が目的になります。
このほんの少しの目的の違いが、様々な差異を生み出します。
企業出版について、詳しく見ていきましょう。
まず、なぜ企業が本を出版をするべきなのか考えてみましょう。
それは単純に言ってしまうと、本を出すことによる大きなメリットがあるからです。
企業出版を行うということは、「本が書店に並ぶ」といった事実以上の大きなメリットがあります。
それは、個人ではなく「会社」として本を出しているからこそのメリットです。
「会社の業務内容について、1冊の本が出ている」という事実で、「本にするような業務実績がその会社にはある」ということを表せます。
公に発表できる実績がない会社の場合は、その会社の仕事に関する本を書くことは難しいでしょう。
また、誰もができる単純作業を何も考えずにくり返し行ってきただけでは、その仕事内容で本を1冊書くのは難しいでしょう。
逆に、トヨタ自動車やパナソニックなど、名だたる大企業に関する本がたくさん出版されているのはご存じのとおりです。
つまり、「その会社に関する本が出ている」=「本にするような立派な実績がある」という印象になるということです。
たとえば、「万年筆」について解説されている本を、文具メーカーが出版をしていたらどう思うでしょう?
知らない業界、知らない企業であっても、「こんなふうに本を出しているような会社なんだから、その業界の中ではかなり有名な企業なんだろう」と思いませんか?
もし、その業界を知っていたら、「こんなふうに本を出せるほどの企業だ。名前は知らなかったが実力のある企業なんだろう」と思いませんか?
あなたの企業についても、同じです。
書店で目にした人、スマホで検索した人、その業界のことを調べていて見つけた人……
いろんな人に、業界内でも一目置く存在としてイメージづけられます。
一般的に広告というと何が思い浮かびますか?
テレビCM、新聞広告、ネット上の広告、街中の看板、投げ込みチラシ……世の中には多くの広告があふれています。
でも、これらの広告は、1度掲出するだけでは効果がすぐに無くなってしまいます。
たとえばテレビCMは、流れている15秒で見なければ、他に目にする機会は無いですよね。だから、どの企業も、同じCMを何回も流します。
そこで、書籍を「自社の広告」と捉えて考えてみるとどうでしょうか?
まず、書店店頭では、長いときは6か月やそれ以上の期間、陳列がされています。
各書店のネット通販サイトのページでは、情報が半永久的に残ります。
つまり、本を1冊出すことにより、年単位で広告効果が見込めるのです。
ここまで広告効果が長い媒体というのは、そう多くありません。
「見た人に良い印象を抱かせる、息の長い広告ツール」が生み出すものはなんでしょう?
それは、新しい顧客です。
今まで会社のことを知らなかった人、会社の名前は知っていても業務を知らなかった人、会社を知っていたけどまだ仕事は頼んだことが無かった人……
これらの人々が出版された本の影響で良い印象を抱きます。
また、自社の業務内容を説明せずとも知ってもらえたり、一目置いてもらえるようになるため、値引きの強要をされなくなったりといったことも起こります。
つまり、本のおかげで新しい、より良い仕事につながることになるのです。
このように、企業出版は多くのメリットにつながる「販売促進ツール」なのです。 >>既存の営業手法との比較