本ができあがるまでの様子を、印刷・製本工場の機械の写真といっしょにご紹介します。
なお、本の仕様によって、写真とは違う機械が使われる場合があります。
印刷用のデータを元に、オフセットの印刷機で本文や表紙などを印刷していきます。
大きなサイズの紙に、16 ページ分、または32 ページ分の本文を並べて、それを紙の両面に印刷します。
写真は、ハイデルベルグ社のSpeedmaster というUVランプでインクを定着させる最新のオフセット印刷機です。印刷機の中にカメラが組み込まれ、すべての印刷用紙をチェックしているので、1枚でも印刷に不具合があれば自動で検知することができます。
印刷機のある工場内では、紙や印刷に適した温度(23℃±2℃)・湿度(50~60%)を保ち、気圧を高くして外部からのほこりが入らないようになっています。
印刷された紙から、何枚かごとに1枚を取り出し、機械に内蔵されたカメラと目視によって色の具合のチェックを行います。
ページによって使われるインクの量が違うため、できるだけそれぞれのページがきれいに印刷されるように、この機械で微妙に各インクの量を調整することもできます。
印刷された紙は、1枚の紙に16ページや32ページ分の印刷がされていますので、紙折り機で順番になるように折られていきます。
折られた本文をページ順に揃えて、1冊の本にまとめる作業を、丁合い( ちょうあい) といいます。
丁合いは製本の際に、一番乱丁につながる箇所と言われています。
この写真の丁合機では、機械にセットする本文の見本を目の前に置いて、作業員による目視確認と、機械に取り付けられたCCD カメラの自動判別による二重のチェックで、乱丁を防いでいます。
少部数の出版でしたら、低価格で短納期なオンデマンド印刷をおすすめしています。
オンデマンド印刷機は、一般的なコピー機と同じようにトナーを使用しています。
1枚目からきれいに印刷され、本文を1ページずつ印刷していきますので、上で紹介されている抜き取り検査、紙折り、丁合いの工程が必要ありません。
写真は、富士ゼロックスのColor 1000i Pressという最新の高画質オンデマンド印刷機で、シアン・マゼンタ・イエロー・墨の4色トナー以外に、クリアトナーやシルバートナーなどを追加することができます。
並製本( ソフトカバー) などの無線綴じの場合は、本の背を糊で固めています。
写真は、丁合いされた本文が一冊ずつローラーを通って、背の部分に糊を付けて、固められている様子です。
このラインを通って、表紙も自動的に貼りあわされていきます。
落丁・乱丁などによって規定の重さよりも重くなっているものや、軽くなっているものを、写真の機械で自動的に除外していきます。
規定の寸法で小口の三方を仕上げ裁ちします。
上製本( ハードカバー) の場合は、このあとに表紙を取り付ける作業が行われます。カバーや帯などがある場合は掛ける作業をします。
完成した本は、包装紙で梱包して出荷されていきます。