出版・流通を行う際に登場する「取次会社」という存在をご存知でしょうか?
あまり聞きなじみのない方もいらっしゃるのではないかと思います。
取次会社とは、出版社と書店を結ぶ、本の卸業者です。
個人経営や地域に根差した小さい書店なども数えると多くの書店があるのと同時に、中小規模の会社を含めると数多くの出版社が存在します。
書店は、売るための商品である書籍を出版社から仕入れなければ、商売ができません。また、出版社は、作った商品である書籍を書店に置いてもらえなければ、売上が上がりません。
ですが、たとえば、数多くの出版社相手に、個人経営の書店が一社ずつ仕入れの交渉や支払い手続きを行っていると、膨大な手間がかかってしまい、本を売るという本来の仕事ができなくなってしまいます。また、小さい出版社も、全国にある書店1件ずつから発注を受けたり代金を回収したりしていると、その対応だけで時間を取られてしまい、本を作るという本来の仕事ができなくなってしまいます。
これらの問題を解消するためにあるのが、取次会社です。
取次会社は、書店と出版社の間に立ち、それぞれの注文を取りまとめ、スムーズに本が流通できるようにしているのです。
取次会社の主な仕事は3つです。
・出版社から本を仕入れ、各書店に配布すること。また、書店からの返品受付を行うこと
・(書店、出版社双方へ)代金の回収、支払いの代行
・(書店への)新刊書籍の案内や、これまでの売れ行きの分析、仕入れの提案
取次会社は、上述の「本の仕入れ・卸業務」だけでなく、金銭のやり取りや売上げ増のための施策も行っています。
取次会社は、多くの出版社・書店と取引を行っているので、書籍に関わる様々な情報が入ってきます。こういった立地の書店ではこのジャンルの反応が良い、この地方ではこの本が売れている、最近この本の売れ行きがどんどん伸びている、などの情報を生かして、書店への仕入れの提案や、出版社へ市場で反応の良い書籍の提案などを行います。
一般社団法人日本出版取次協会の会員名簿によると、日本には、現在18社の取次会社があります。
日本出版取次協会 会員名簿
このうち、二大取次と呼ばれるのが「日販(日本出版販売)」と「トーハン」です。この2社だけで、シェアの約80%を占めていると言われています。
ブイツーソリューションでは、星雲社を通じて、
日本出版販売(日販)、トーハン、楽天ブックスネットワーク、中央社、共栄図書、宮井書店、鍬谷書店、日教販、西村書店、博文社、八木書店
の11社と取引を行っています。そのため、全国のほとんどの書店でお取り寄せが可能です。
書店以外の、本を取り扱っているお店は、それぞれ対応が異なります。
・駅やコンビニ:一部、書籍の取次会社が担う店舗もありますが、専門で卸業務を行う取次業者が担当することが多いです。
・学校など:地域の書店から販売を行ったり、日教販という専門の取次会社が販売を行います。
・図書館:地域の書店から販売を行ったり、図書館流通センターが販売を行います。
・電子書籍:電子書籍の専門取次会社も存在します。紙の書籍と同じように、出版社から預かった電子書籍用のデータを、各配信ストアそれぞれの仕様に合わせて編集・加工し、流通をさせます。また、売上の集金や、出版社への支払いも代行しています。